高周波増幅器の作成
● 電波障害注意!
HF帯14MHz発振器(アナログ発振器: 2−(2)の水晶を14Mcに交換し、調整したもの)からの出力を、2SC1970(ドライバー段: 20mW→1W)、および、2SC1945(終段: 1W→10W)で増幅する高周波増幅器を作成する。
ドライバーと結合部には調整が煩雑なタンク回路を用いずに、広帯域リニアアンプ回路で作り、終段の出力部のみLC共振回路で同調と出力を調整できるようにした。
(1) ドライバー段の作成:
2SC1970(PG>9.2dB at.175MHz、VCBO40Vmax、VEBO4Vmax、Ic0.6Amax、hFE 50(VCE10V、Ic0.1A))の直線性の良い領域を用いるために、スイッチングダイオード:1S1555(トランジスターと熱結合、1S1558、1SS133でも良い)を用いて約0.7Vのベース・バイアスを与え、無入力時に Ic(コレクタ電流)に約30mAのアイドリング電流が流れるように500Ωの半固定抵抗を調整する。
この際、トランジスターの熱暴走を防ぐため、1S1555をエポキシで(接触させずに)固定して、トランジスターと熱結合させる。
入力用の14Mc発振器は、波形を見ながらのトリマやコアの微調整が必要。調整後は、ボビンのコアは高周波ワニスで固定する。
出力のテストは、豆電球(4.8V0.5A)をコレクタ側の0.01μコンデンサーから取り出して行った。(この時、Vcc12V、ドライバーの全電流約0.5A)
入力用コンデンサーが0.0047μFでも、出力は強すぎるくらいだった。
(2) 終段出力部の作成:
ドライバーの2SC1970がコレクタ接地に対し、終段の2SC1945(VCBO80Vmax、VEBO5Vmax、Ic6Amax、hFE50、 Po14W(27MHz))はエミッタ接地なので、全体をエミッタ接地にし、2SC1945の放熱器(=アース)でケースを区画するようにした。発振器にはアースにハンダ付けしたシールド板を付け、2SC1970の放熱器からのノイズを遮断した。
2SC1945のベース・バイアスは、(1)と同様に1S1555で与え、タマゴラグにハンダを盛り2SC1945と熱結合させた。
ドライバー段の出力が強すぎるので、0.5W以下に抑えるために、入力と結合部のコンデンサーなどを変更した。(このとき、電球がほの暗く光るくらいの明るさ)
LC同調用タンク回路には、L(φ20mmアクリル管に、φ1mmスズメッキ線を15Tガラ巻きで巻いたもの
= 約2.4μH(測定)、タップ4T)と100pタイトVC(耐圧500V)を使用した。出力コイルは、アクリル管の内側にφ0.8ホルマル線をφ13、6Tでガラ巻きして挿入した。
高周波の配線には、同軸ケーブル(1.5D2V、3D2V)を用いた。
(3) 出力の調整:
ダミーロード(5W5.1Ω、10W10Ω、10W51Ω、電球(4.8V0.5A)など)をつなげた状態で、Vccに+9Vを入れ、同調用VCを回して、同調点でコレクタ電流(Ic)が約1.6〜2Aの最大値になるようにする。きれいな波形になるように、オシロでモニターして調整する。
同調VC(100pF)はやや抜けたところで最もきれいな正弦波(周波数カウンターで14.007MHz)、かつ、最大値となり一定、出力VC(100pF)はフルに入れた状態で、ダミーロードを変えて次のような結果になった。
ダミーロード | モニター(オシロ) | Vcc | Ic |
5W5.1Ω ・・・熱くなる(推定5Wフル) |
6Vp−p | 9V | 1.6A |
10W10Ω ・・・ほとんど変わらない |
2.4Vp−p | 9V | 1.8A |
電球(9.6Ω、2.4W用) ・・・非常に明るく光る |
2.3Vp−p | 9V | 1.7A |
出力は、出力用VC(100pF)のためにかなり制限され、出力インピーダンス5Ω程度でせいぜいmax5W程度であり、VCを回して容量を下げるとその分出力がさらに低下した。(出力VCでは Ic
や波形はほとんど変化しない)
* 100pFの出力VCによるリアクタンスは、 Rc = 1/(ωC)
= 1/(2πf C) = 1/(2π×14×106×100×10−12) ≒ 114(Ω) より、
出力10Vのとき、0.09A、0.88W、 20Vのとき、0.18A、3.5W、 30Vのとき、0.26A、8.0Wとなる。
VC + C(100pF マイカ・コンデンサー)(出力インピーダンス約10Ω用)にして、あるいは、VC無しで直結(50Ω用)して、電源電圧が9Vで出力10W程度が出るようになった。
* 注) 駆動中のLCタンク回路は高電圧になっているので触らない事! また、アンテナを付けると電波が発射されるので注意!
* LCタンク回路は、目に見える形で、電場エネルギーと磁場エネルギーが共振して伝達して流れているのが分かる、典型的な実例です。MW〜VHF帯(数百kHz〜数百MHz)までは、このようなLC共振回路による”集中定数回路”が用いられますが、UHF帯以上(数百MHz〜数十GHz)になると”分布定数回路”が用いられます。
音波(空気分子の疎密波)は大気圏外には伝わりませんが、電波は真空の宇宙空間にどこまでも伝わり、実際、月や火星、木星、土星などから写真やデータを送るなど、通信が可能になっています。空芯コイルとエア・バリコンによって構成されているタンク回路内では、このような
真空を通してのエネルギーの授受が行われています。そして、狭い函の中の回路電流が、インピーダンスが整合したアンテナ(*アンテナも1/4波長、1/2波長などの、一種の”共振器”)を付けると、電磁波として広い宇宙空間に発射されます。
一方、特殊相対性理論によると、光速(=電磁波の速さ)はあらゆる慣性系(等速度系)で一定(
c = 1/√(ε0・μ0) = 299,792,458 m/s(30万キロメートル毎秒) )ですが、このことは、マクスウェル方程式のロレンツ不変性と等価です。 したがって、マイケルソン、モーレーによって発見された光速の一定性が、電磁波のそれと同じ(光=電磁波)であり、これが”真空”の本質的な性質であることが分かりました。
そして、神様が真空に与えられた、真空の誘電率 ε0 、真空の透磁率 μ0 という性質こそが、この光・電磁波の速度、また、空間の相対論的な性質を決定しています。(磁場Bよりも、さらにポテンシャルφの方が根源的です。) すなわち、まず、光速が一定であり、次に、それに応じて空間の方が伸び縮みします。(速度が空間座標のパラメーターによって定義されたにもかかわらず!)
まず第1日目に「光よ、あれ」と言われて光が創造され、次に第2日目に「大空(=空間)」が広げられました。(創世記1章3−8節)
・・・・・ (参考) 量子力学の自然啓示
さらに今年は、「光についての新しい物理的性質」が明らかにされようとしています。